ミャンマーの保険部門への合弁事業の利点

  • 2019-08-06

ミャンマーの金融サービス部門の自由化において、計画財務省(MoPF)による最新の一手として、海外の保険会社5社に全額出資の生命保険事業をミャンマー国内で始めるための仮許可を与える。
2019年4月5日、同省はイギリスのPrudentialの子会社であるPrudential Hong Kong、アメリカのChubb Tempest Re、カナダのManufacturers Life Insurance Company(Manulife)、日本のDai-ichi Life Insurance Company、アジア最大手のAIA Groupの子会社として事業を行う香港のAIA Companyを生命保険営業許可の優先候補海外企業として認めた。
これは、外資系企業が生命保険及び損害保険商品販売のためにミャンマー市場に参入することを許可した2019年1月のMoPFの発表に続くものである。
それ以前は、外資系企業はミャンマー国内の市場における保険販売を禁じられていたが、2015年にヤンゴンの南東25kmにあるティラワ経済特区の範囲内で事業を行う仮営業許可が認められた。

事前営業許可条件と次の動き
優先候補企業の一部は事業を開始できるようにするため、申請手続きの間、MoPFが1月に規定した一連の事前許可条件を満たす必要がある。
各保険会社は、ミャンマー新会社法の下で全額出資の外資系生命保険子会社として設立され、ミャンマー保険事業法の下で必要とされる最低資本を満たし、保険事業規制委員会によって承認され、会社の純資産を記載した監査人の証明書を提出しなければならない。
2018年12月31日時点でミャンマーに駐在員事務所を持ちながら優先候補企業に挙げられていない保険会社は、ミャンマー国内の保険会社との合弁事業(JV)へ関心表明を提出することによってミャンマー市場への参入を試みることができる。この機会は少なくとも2段階で提示されると見込まれ、最初の締め切りは5月3日である。
JVモデルによれば、海外のパートナー企業は合弁先企業に対して最大35%の株を保有することができる。これらの規則は損害保険会社にも適用される。
ヤンゴンに本拠を置くAMI Insuranceの社長であるMyo Min Thu氏を含む一部の関係者はこの合弁事業がミャンマー国内の市場構造に短期的に大きな影響を与える可能性を持つとしている。「海外の企業が全額出資の生命保険ライセンスを得ることと等しく興味深いのは、海外企業とミャンマー国内企業が合弁事業で提携することである」とMyo Min Thu氏はOBGに語った。
「ミャンマーの市場における新規参入企業として事業を軌道に乗せるには何年もかかることがあるが、合弁事業は歴史的なブランド力と流通ネットワークを活用することができる。いずれにせよ、私たちは生命保険部門全体が急激に成長すると予想している」
予想されていた3社ではなく5社の生命保険営業許可の承諾は、ミャンマーの保険市場における競争が激しくなる可能性があることを意味し、合弁会社の魅力を高めるだろう。

品質向上への効果を期待される海外のノウハウ
2019年1月に政府が発表したミャンマーの保険部門の自由化ロードマップに従って、海外の参入企業の普及率が低い業界に必要なスキルと技術的知識をもたらし、商品の品質と流通を改善することが広く期待されている。
「新しい会社は高度なデータ収集と分析のテクニックをもたらし、ビジネスのあらゆる局面を改善することが期待される」とChartered Insurance Institute MyanmarのCEOであるRobert Easson氏はOBGに語った。
しかしながら、業界拡大の支援に値するミャンマー人材を育成するには相応の利益を生み出す必要があるとEasson氏は指摘した。「徹底的にあり方を検討すべきこの期間に、事業推進の観点から保険部門が直面する最も明確な問題は熟練した保険専門家の必要性である。代理店システムは流通の最重要事項であり、専門的かつ倫理的で信頼できる販売員に対する市場のニーズを満たすために何万人もの人材を育成することが必要になるだろう」
ミャンマーを拠点とするCapital Life Insuranceの社長であるYan Paing氏は、合弁事業で海外の企業と協力することが、この分野を現代化する最善の方法であると強調した。「技術は買うことができるが、正しく利用するためのソフトスキルは不足している。海外のパートナー企業は、そのギャップの改善に役立つ企業風土と考え方をもたらす」と彼はOBGに語った。
(Myanmar Times 2019年6月3日 第5面より)