ミャンマーで期待される新たな商標登記制度

  • 2020年 5月 22日

昨年制定されたミャンマーの新たな商標法は包括的な商標登記及び保護制度のための枠組みを確立し、まもなく施行される。
これは、これら重要な法改正に照らしてポートフォリオを見直す必要がある外国及び国内双方の商標所有者に関係する且つ重要である。
同法はまた、長い間時代遅れの植民地時代の法律に依存して知的財産権を保護してきたミャンマーの企業にとって前向きな動きとなる。
ミャンマータイムズは知的財産を専門とするLuther法律事務所の弁護士Anja Schwarz氏と、新たな制度の下での変化及び企業コミュニティにとってどのような意味があるのかについて話した。

現状はどうなってて何が変わるのか。
過去のミャンマーの商標保護は、登記事務所に所有権宣誓書を提出しミャンマーの新聞での警告通知を介して商標を公告することで得られていた。
これは、2020年初期に施行される予定のミャンマーの新たな商標登記制度の実施を伴い変更される。6カ月と予想される最初の「ソフトオープニング」段階では、旧制度に基づき登記された商標を新たな登記で再出願することができ、紛争が起きた場合、後に出願された商標に対して優先されることを意味する優先権の主張が当該商標に認められている。
所有権宣誓書を提出することにより登記されている商標の他に、正式な登記無しにミャンマーで実際に使用されている商標もまた登記することが許可される。
ソフトオープニング期間の完了後、拒絶の絶対的根拠がない場合登記のための全ての申請は審査され、正式な要件を満たす商標は異議申立て目的のために公表される。
その後、新たな登記は以前登記されていない又はミャンマーで使用されていないものを含むあらゆる商標登記の出願を受け入れる。

商標所有者及び企業は何に注意すべきか。
商標所有者は自身のポートフォリオを見直し、ミャンマーでの保護のため新制度に基づき登記を行わなければならない商標を決定する必要がある。
国際商標所有者はさらに、ミャンマーではよく知られている国際商標の一般的な誤用を認識し、自身の権利を侵害するあらゆる出願に対し異議を申立てる準備を行う必要がある。
ソフトオープニング期間の再登記は、同一商標所有者が同一保護範囲で行う必要があるが、要求に応じて制限されることがあることに注意することが重要である。
例えば、商標が現在ミャンマー支店の名前で登記されているが外国の親会社の名前で再登記する場合など、商標が新たな所有者の名前で登記される場合所有権の移譲又は譲渡の記録を出願前に提出しなければならない。優先権は以前登記した所有者の名前で登記される商標に対してのみ与えられる。
ソフトオープニング期間中に再登記された全ての商標には同じ出願日、つまりソフトオープニング期間の最終の日付が付与されると予想されるが、予期せぬ遅延から生じる予想外の出来事を避けるために早期申請が推奨される。
ソフトオープニング期間後、商標所有者は以前登記された商標の優先を主張して再出願することはできず、商標登記のため新たな申請を出願しなければならない。

何故これが近代の知的財産体制を確立するためのミャンマーの取り組みにおける重要な進展なのか。
ミャンマーの新たな2019年商標法は、包括的な商標登記及び国際基準に沿った保護制度のための枠組みを確立する。これは外国及び国内の商標所有者双方に関係する、新たな投資家を誘致するための政府による重要な段階である。
手数料等の公開されるべきいくつかの詳細は未だ残っているが、新たな法律の施行はミャンマーの近代的商標制度への移行における重要な段階であることを表している。
(Myanmar Times 2020年1月31日版 第7面より)