ミャンマーにおける独占禁止法(競争法)の概要

  • 2022年 2月 18日

ミャンマーの競争法は、2015 年 2 月に公布され、2017 年2 月より施行されました。その後、2017 年10 月に商業省より競争法施行規則が施行されています。2018 年10 月31 日に 2018 年106 号通知で競争委員会が設置されています。競争法は、①競争を制限する行為、②独占、③不公正な競争、④一定の事業間の共同行為を規制しており、概要は以下のとおりです。
(1) 目的及び定義
本法は、公平な競争を排除することを目的とした経済活動組織による独占又は価格操作によって生じる不公平を防ぎ消費者を保護すること、国内外の取引及び経済発展における不公平な競争を規制すること、市場での支配的な立場を利用した独占の防止等を目的としています。本法における「競争」とは、商品及びサービスについて、より多くの顧客、シェア及び市場での影響力を獲得するための経済活動における競争であると定義されています。また、「経済活動」とは、製造、分配、購入、販売、輸入、輸出及び交換等の事業又はサービスと定義されており、事業全般が対象に含まれることとなります。
(2) 競争を制限する行為
「競争を制限する行為」は、市場における経済活動組織の競争を減少又は阻害することを目的とした行為であり、競争を制限する合意、市場での支配的立場の濫用及び独占が含まれると定義されています。具体的には競争を制限する合意、支配的立場の利用等が禁止されています。但し、消費者の利益を意図したと認められる一定の場合には、期限を特定した上で例外として認められることがあります。
(3) 独占
市場を独占するとして、以下の行為等が禁止されています。
① 商品の購入価格、販売価格又はサービス料を規制すること
② 価格統制を目的とした製造またはサービスの制限、購入又は販売過程における機会の制限、事業者が強制的に遵守しなければならない規制を直接的又は間接的に定めること
(4) 不公正な競争
「不公正な競争」とは、国家又は経済活動組織の利益、消費者の利益及び法的に付与されている権利を侵害又は侵害しうる競争を意味すると定義されています。具体的には消費者の混乱を生じさせる行為及び企業秘密の漏洩行為等が禁止されています。
(5) 事業間の共同行為
事業間の共同行為として、事業間の合併、買収、合弁等が規定されています。当該共同行為自体は禁止されないものの、「一定期間、市場での影響力を高める共同行為」及び「独占的又は寡占的な市場を得るために競争を低下させる共同行為」は原則として禁止されています。また、共同行為の市場シェアが競争委員会によって制限されている市場シェアを超えた場合にも、共同行為は認められません。