ミャンマーの企業は政治献金に対して沈黙を守る

  • 2021年 2月 09日

企業献金政策の監視に関する適切な規制の欠如及び政治家及び政党とミャンマー大企業との関係の透明性の欠如は、2020年11月の選挙に先立ち公の監視下に置かれていると選挙専門家及び市民社会団体は述べた。
選挙活動シーズンの開始と共に、有権者は、選挙活動資金のため政治献金を受け取っている政治家とミャンマー大企業との関係について質問した。
ミャンマータイムズは先月、国内で最も大きく活動的な22の企業に、政治家及び政党に現金又は現物出資での政治献金に関する彼らの方針について質問した。この調査は、軍の複合企業により所有されていない企業のみ調査の対象とした。
調査結果は、調査対象である22の主要企業の半数以上が、11月の議会選挙に先立ち政治献金を行ったかどうか公にしていないことを示した。
合計8社が、規則のため政治献金を行っていないと回答した。14社は回答しなかった若しくは連絡を取ることができなかった。Shwe Taungを除いて、自社の実質的所有者が個人的な立場で行った献金の開示に関する質問に回答した企業はいなかった。
実際、開示の欠如はミャンマー法に基づき許可されている。一部の国は法律により全ての政治献金に関して株主の承認を必要としているが、ミャンマーの会社法は当該要件を設けていない。
企業の規制は政治献金に関して比較的少ない制限を課しており、政党は選挙活動資金の詳細を開示する必要はない。しかし、外国組織及び企業からの献金は違法である。
ミャンマーの選挙規制はまた、政治家への企業の献金が限定的に監視されている。現地企業及びその実質的所有者は、候補者又は関連政党へ献金することができる。現在の選挙法は個人候補者に対する支出制限を設けているが、政党への制限はなく、選挙関連の場合でも選挙活動資金を報告する必要はない。

改革及び透明性が必要
適切な規制の不足は、献金者からの透明性をより重要にする。
ミャンマーの汚職禁止委員会及びミャンマー企業責任センター(MCRB)により最近公開された企業完全性ガイドブックによると、献金が個人に行われなかったとしても、意思決定者の政党への献金を含む特別な優位性又は恩恵を得るために献金を行った場合、賄賂となる可能性がある。
同ガイドブックは、「明確な企業問題」として検討されるものに基づき、重要な献金には企業内の高いレベルの承認が必要であるという献金方針を持つよう企業に助言している。
「特にあなたの事業が受け入れ組織又は個人に関連する者からのサービス、承認又は契約を求めている場合、献金が外部の監視者からどのように見えるのか常に考えなければならない」と述べる。
ミャンマーの選挙活動資金規制に関する2017年民主主義・選挙支援国際研究所の報告書は当局に、候補者及び政党と政府契約を結んでいる企業からの献金の禁止を検討するよう推奨している。
「当該禁止は良い慣習のため、過度の影響及び代償献金の機会を減らすことができる」と報告する。
しかし、裕福な個人、彼らの企業及び事業体による政治献金に関するミャンマーの規制は改革の必要があり、現在の連邦政府委員会の幹事の職は法律のアップデートのためにほとんど何もしていない。

自主規制が必要である
汚職リスク及び腐敗した政治を減らすため、市民社会及び選挙専門家は企業と政党の両方に資本調達に関する自主規制及び開示を求めている。
「特に政党及び候補者だけでなく、献金者による政治献金の開示も政党及び政府の透明性及び説明責任を可能にし、汚職リスクを減少させるために重要である」とMCRBの取締役Vicky Bowman氏は述べた。
「国民は、例えば政治献金を行っている企業に政府契約が与えられているかどうか、汚職がないことを示すための透明な調達手続きが必要であることを知る必要がある」。
「民主化及び選挙政治には、資金が必要である。しかし、政治献金は政治家が有権者よりも献金者により責任を持つ可能性があるため、民主主義にとってリスクである」とBowman氏はコメントした。
「企業による献金は、汚職リスクがあることが明らかである。そのため、最大限の監視及び制御を確実にするため取締役会及び株主が関与すべきである」と彼女は付け加えた。
選挙監視団体People’s Alliance for Credible Elections(PACE)の事務局長Sai Ye Kyaw Swar Myint氏は、選挙活動への企業献金に関する規制の欠如及び透明性の要件の欠如は、選挙が「寡頭制」になるという大きなリスクを含むと述べた。
「仲間の政党への献金方法」を精査する適切な制度が必要であると彼は付け加えた。
「そうでなければ、民主主義体制で前進する代わりに、私たちは中東で見られる寡頭制に固執するだろう」とSai Ye Kyaw Swar Myint氏は本紙に語った。
「私たちは軍の組織的汚職を終わらせ、持続可能な平和を構築するために軍隊を民主的な管理下に置くという重大な改革を実施することにより、大規模な賄賂の影響を受けないクリーンな政府を至急必要としている」と現地権利団体Justice for Myanmarの広報担当者Yadanar Maung氏は述べた。
彼女はまた、世論調査が自由と公平を期すため、独立した規制に従い政治資金及び献金に関する制限の透明性が必要であると付け加えた。
「企業が献金の開示を選択する場合、それは前進だが選挙活動資金の法的規制及び軍の企業連合の解体の代わりとなってはならない」とYadanar Maung氏は述べた。
ミャンマータイムズが調査した22社のうち15社は、ミャンマーMCRB及びヤンゴンに拠点を置くコンサル会社Yeverにより発表された2019年Pwint Thit Sa(ミャンマー企業の透明性)報告書で高得点を獲得しており、ミャンマーのコーポレートガバナンス及び開示基準改革のリーダーとなった。
透明性報告書において高いスコアを獲得した15社に加えて、最近の取引及び献金の重大さに基づき7社(Asia World、Ayeyarwady Farmers Development銀行(A Bank)、CB銀行、Mottama、Supreme Group、Zakabar、Zaye and Associates)を調査した。
私たちの質問に回答したAsia Worldは、政治献金は行っていないがラカイン北部に道路、Paletwaに橋を建設するため政府に寄付する寄付団体Asia World Foundationがあると回答した。
現地複合企業であるZaykabarはミャンマー企業協会の後援者である大実業家Khin Shwe氏により所有されており、建設及びインフラタスクフォースの後援者として連邦人権支援、再定住及び開発企業(UEHRD)にも関与している。
Asia World及びMottamaは、双方とも業界を超えて活動する主要複合企業であり、CB銀行は国内で3番目に大きい商業銀行である。
Ayeyarwady Farmers Development銀行(A Bank)はタイのKasikornbankから巨大な投資を受けており、ミャンマーのデジタルバンキング市場に野心を持っている。
Supreme Groupは大規模な政府入札のエネルギー事業に関与しており、今年液体天然ガス工場について25億米ドルで政府と電力購入契約を締結することが期待される。一方、Zeya and Associateは、昨年エネルギー省により急いで入札が行われた5つの物議を醸す緊急電力入札のうち4つを獲得したCITICが支援する現地企業VPowerと提携した。
調査対象の企業の多くが、COVID-19対応を支援するために中央及び管区政府にも献金を行っている。
(Myanmar Times 2020年8月23日付オンライン記事より)