電子商取引の大手アリババグルーブホールディングスのフィンテック関連企業である中国のアント・ファイナンシャルは、ミャンマーのモバイル決済企業であるWave Moneyの少数株式を取得する。
Wave Moneyは5月18日月曜日に、アント・ファイナンシャルサービスグループが新規株発行の方法で7,350万米ドルの投資を計画していると述べた。同取引は、ミャンマーの農村地域における巨大な銀行口座を保有しない人口を活用することを目的としている。
ノルウェーのTelenor Groupとシンガポール上場企業であるYoma Strategic及びYoma Bankで構成されるYoma Groupとの間の合弁会社であるWave Moneyは、東南アジア諸国で最大のモバイル決済サービスプロバイダーである。取引後、Yoma Strategic及びYoma Bankはそれぞれ29.5%と3.4%の株式を保有するが、Telenor及びアント・ファイナンシャルの保有数は公開されていない。
杭州に拠点を置くアントはアリババの決済事業アリペイを運営し、プラットフォーム利用者に貯蓄及びクレジット商品を提供している。承認されれば、中国外でのアントの10番目のモバイルウォレットパートナーシップとなり、同社に5,500万人近い人口且つ、電子商取引の成長の可能性が高いモバイル普及率により支えられているミャンマーの初期市場に参入することを許可する。
「パートナーシップはWave Moneyがアリペイの経験を活用して金融包摂を促進し、ミャンマーの銀行口座を持たない個人及び小企業により良いサービスを提供することを可能にする」とアントのエグゼクティブチェアEric Jing氏は述べた。
ミャンマーは依然として大規模な現金社会であるが、COVID-19パンデミックは個人、雇用者及び企業にオンラインへの移行を強いることになり、電子商取引及び電子サービスの成長が促進されている。
Yoma StrategicのCEOであるMelvyn Pun氏は、この取引により「これら傾向を支えるWave Moneyの機能が大幅に強化される」ことを期待している。
「ミャンマー政府及び民間セクターはデジタル化への運転を加速している。年金支払、家計補助金、ローン回収及び請求書の支払は全て電子化が推し進められている。主要な傾向は、習慣が形成され利便性が明らかになった時にのみ加速するだろう」とPun氏はミャンマータイムズに語った。
DBSアナリストのDerek Tan氏は、Antの専門知識と財務力はWave Moneyが主要なデジタルサービスプロバイダーとしての地位を固め、電子ウォレット市場シェアを拡大することを支援するだろうと述べた。しかし、「旅はまだ長い」と彼は付け加えた。
現地銀行は国の信頼できるモバイルサービスプロバイダーとなるための競争を進めている。先月、タイのKasikornbankはデジタルサービスに焦点を当てた小売市場を拡大するために、Ayeyarwaddy Farmers Development Bankの35%の株式を購入した。
重大なリスクが残っている。5月21日木曜日で11か月目に突入した落ち着きのないラカイン州及びチン州のインターネットの切断は、ミャンマーの利用者がモバイルマネー及び他の電子サービス形態に依存することができるかどうかという疑問を投げかける。
また、データプライバシーの尊重の疑問がある。
アントは5億2,000万人の利用者のクレジットスコアリングシステムに自動的に登録し、中国の国家データ保護基準に違反したとして2018年に中国のデータ保護当局により非難された。ミャンマーは現在、個人情報保護に関する法律又は規制はない。
DBSのTan氏は、高いモバイル普及率に支えられている大規模な地方人口のための銀行施設の欠如は、この段階でのリスクをはるかに上回る機会であることを意味すると述べた。
Wave Moneyは国内で330の地区のうち295地区、57,000以上の代理店のネットワークを運営している。2019年の取引額は43億米ドルを超えた。
(Myanmar Times 2020年5月18日付オンライン記事より)