アウンサンスーチー政権は、シニア職員に対する免税の自動車輸入ライセンスの報奨計画を取り下げるよう新たな圧力にさらされている。
ミャンマーの最大業界団体である自動車協会及び6つの欧州商工会議所は、ライセンス計画の復活の可能性に関する苦情のため、直接国家顧問に文書を送った。ミャンマータイムズが見た同文書では、これが承認されれば、自動車業界における「前例のない混乱」とミャンマーへの外国投資の見通しへの損害を警告している。
公務員への長期勤続の報奨として発表された物議を醸す計画に基づき、輸入自動車は自動車販売店及びショールームを迂回して、関税、所得税及び道路税から免除されるだろう。また許可保持者1名が輸入できる自動車の数に関する、当局の制限はない。
同計画は、国民とビジネス団体からの激しい反対を受けて、今年初頭に中断された。
しかし、ミャンマー自動車協会及び欧州商工会ミャンマーは本紙に対し、政府は「何時でもすぐに」同計画を実施するつもりであるとネピドーの匿名の関係者を引用して語った。
確立されれば、不透明性に定評があり何十年にも及ぶ軍事政権下で汚職で起訴されている広大かつ強力な官僚政治を改革するための、国民民主連盟(NLD)政権の意欲又は能力について11月の選挙に向けて新たな質問が上がることが予想される。
協会会長Aung Win氏は、NLD政権が同計画を推し進める場合、約10万の許可の発行が推定されると述べた。
約10万の免税ライセンスを付与することは、最近の違法アルコール在庫の合法化を正当化した、税収を増やすという政府の優先事項に反している。
投票2か月前となるこのタイミングは、与党が「飴と鞭」の方法で官僚の制圧を試みる可能性があることも示唆しており、改革アジェンダの報奨と罰の組み合わせを意味する。2016年に政権を取って以降スーチー氏は汚職を取り締まり、職員への賄賂の事業慣行を非合法化している。未だ、賄賂として現地で知られる「利益供与金」は、それにもかかわらず普及している。
2014年にスーチー氏は、政府は当該計画を実施しないことを公約にした。彼女の党の選挙マニュフェストは今月公開され、NLDは「汚職のない」「良好なガバナンス」を実施することを再確認している。
同計画は、免税の許可による安価な輸入を可能にし、また現地ショールーム及び自動車販売店の代わりに選ばれたごく少数の輸入業者のみ利益を得ることになり、自動車の現地製造を奨励する省の政策に反しているとAung Win氏は述べた。
商業省は初め、1月に自動車ライセンス計画を考案した。省のメモによると、同計画の対象となる職員は局長及び「上級政府職員」、副局長及び25年の勤続年数を持ち「優れた公務員賞」を受賞したことがある者である。
輸入された自動車は、ショールーム及び自動車販売店を迂回することで関税、所得税及び道路税を免除される。許可保持者1名が輸入できる自動車の数に関して、当局による制限はない。
提案は、国民及びビジネス団体からの激しい反対を受けて中断した。懸念の中には、職員が自分の思うままに輸入することを許可される場合、現地自動車製造業がなくなることがあった。
ミャンマーは現在、年間で約25,000台の自動車を購入しているため、国内自動車組立産業、販売店及びショールームが、許可により数年にわたり事業が成り立たなくなることを意味するとAung Win氏は述べた。
NLD政権の自動車政策は昨年発表され、「組立及び製造に関し定義された課税計画を備えたセミノックダウンキット(SKD)システムの奨励」を規定している。SKDは、ミャンマーで自動車を製造するために使用されてきた。政策は、ミャンマーに工場を設立することでより多くの外国投資家を誘致し、雇用を創生することを目的としている。
欧州商工会議所ミャンマーは、省に送付した抗議文書に関するコメントを拒否した。しかし広報担当者は、同計画の規制の抜け穴及び複雑さを引用し輸入ライセンス提案を批判した。
「同措置は、本来の形であれば人材、設備、訓練の面で投資を行っていない単一のブローカーに有利になる可能性がある」と広報担当者は述べた。「私たちは全てのステークホルダーが、透明性を持った方法で協議し公正に解決することができる公式の枠組の作成を強く支持する」。
商工会議所は1月の記者会見で既に反対意見を表明しているが、当局からは何の返答もないと述べた。Aung Win氏は、Than Myint商業省大臣に書面を出し、同計画を破棄し代わりの政策に置き換えるよう求めてきた。Than Myint氏はNLDの一員である。
商業省は、本紙による書面でのコメント要請に応じなかった。
しかし、省は以前論争を乗り越えた。小売及び卸売市場を開放するためのミャンマー投資委員会の取り組みを失速させ、干渉主義取引法を起草し威力のない競争監視機関を設立したとして非難された。省当局はこれら非難を拒絶した。
(Myanmar Times 2020年9月17日付オンライン記事より)