ミャンマー通貨チャットの実勢レートが2024年8月14日朝までに1米ドル(約147円)=7,000チャット近くに暴落した。クーデターから約3年半で、価値が5分の1を割り込む水準まで低下した。強制両替や徴兵制といった軍政のしわ寄せが経済界に及んでいる。
通貨安の原因は、ミンアウンフライン総司令官をトップとする国軍の最高意思決定機関「国家統治評議会(SAC)」の失策にあるとの見方が強い。外貨不足に直面した際には強制両替で外貨を接収し、2023年10月からの三つの少数民族武装勢力による一斉攻撃を受けて劣勢に立たされた際には徴兵制を導入した。
また、強制両替には2022年から1米ドル=2,100チャットに固定されている公定レート(参考レート)が適用される。しかし、実勢レートとの乖離が大きく、輸出企業にとっては損失になる。企業の意欲が損なわれ、昨年は輸出不振が顕在化した。
このような経済への影響を軽視した場当たり的な対応がミャンマーの通貨暴落を招いている。