2010年初頭にミャンマー経済が開放された後、国をデジタル時代に前進させるために無駄な時間はほとんどなかった。電子商取引及びデジタル革命により、数十年先に見えた事が数年のうちに現実のものとなった。
ミャンマーは、ミャンマー初の銀行間デジタル決済プラットフォームであるOnepay、オンラインショッピング及び仮想請求決済を可能にするデジタルウォレットのOK Dollar、送金サービスのWave Moneyへのライセンス供与により、急速に電子商取引及び決済技術が発展した。
ミャンマーの最近の成功の多くは、オーバーホールのためより古く、より確立されたインフラを有する近隣諸国を飛び越える能力によるものである。しかし、ミャンマーはどうすれば急速な発展を続け、デジタル金融サービスにおいてより革新的な国となることができるのだろうか。
規制サンドボックス
試行錯誤された技術が市場に参入し現地企業が海外のアドバイザーと協力することにより、ミャンマーは同分野のリーダーとなることができるだろう。
一つの方法は、ミャンマー政府がこれら企業に適用される法律違反に対して罰則を科すことなく、企業及びテックスタートアップが革新的な製品、サービス及びプラットフォームを試験することを許可する「フィンテック規制サンドボックス」(「イノベーションハブ」や「スタートアップセーフスペース」と頻繁に呼ばれる)を採用することである。
ミャンマーでは規制サンドボックスにより、決済会社が2012年外国為替管理法第42条に基づく起訴を免除されながら国境を越えた送金サービスを試みることを許可する。企業は租税法といった他の法律から免除されることはないが、「外国為替事業」として起訴されることはないだろう。
世界的なハブは、このモデルから大きな恩恵を受けている。一つの成功例として、2019年4月から規制サンドボックスを運営している韓国の金融サービス委員会(FSC)がある。FSCサンドボックスはスタートアップのため約1億1,100万米ドルの投資を誘致し、国のブロックチェーン技術及びフィンテック市場を拡大した。
当該モデルを採用することにより、ミャンマーは規制サンドボックスで生み出されるアプリから、そして最終的にサンドボックスを出た成功企業により支払われる法人税から税収を増やすことができる。
規制サンドボックスは、ミャンマーで事業を行う国内テックスタートアップ及び外国人投資家の信用を高めることができる。
また、暗号通貨及びブロックチェーン技術の発展を促進することにより、ミャンマーは約70%の人々が銀行口座を保有しない国としての汚名を是正することに大いに役立つ可能性がある。
最近の革新
ミャンマーの規制サンドボックスに関する政府の協議はないが、政府政策で情報及び通信技術を取り入れようとした、政府が開始した野心的なイニシアチブである2015年電子政府マスタープラン等、過去10年間で顕著なフィンテック革新があった。
野心的であるが、計画は資金及び政府の意志力の欠如により失敗したと批評家は述べた。それでも政府は多くの新しいことだけでなく実験的なフィンテック製品及びサービスに従事する意欲を示している。
昨年ミャンマー中央銀行(CBM)は、タイにいるミャンマー人出稼ぎ労働者の家への送金を支援するために、株式時価総額で2番目に大きい暗号通貨プラットフォームであるイーサリアムを使用した企業を許可した。前進する一方で、規制サンドボックスは商品やサービス、不動産及び税金の支払い等、ミャンマー経済で暗号通貨の他の使用方法を探求する可能性がある。
しかし、現在の規制制度は依然として柔軟性がなく、実験的金融サービス会社にとって費用がかかり負担が大きいままである。
実施の難しさ
例えば米国では、規制サンドボックスはユタ州、ワイオミング州、アリゾナ州で異なる規制制度に直面している。
ブロックチェーン技術の性質上、暗号通貨は多くの法的枠組みの対象となる。例えば、商品、通貨、証券として見なすことができ、物資貿易委員会(CFTC)、通貨監査局、証券取引委員会それぞれの規制の対象となる。
ミャンマーのサンドボックスは、例えば暗号通貨を支払い手段と見なす可能性がある計画財務省と、消費者購買のために暗号通貨を使用することにより関心を持つ商業省との間で同様のオーバーラップに遭遇する可能性がある。
通信情報技術省、知的財産を管轄する教育省もまた、暗号通貨の登録、使用及び販売方法に関与している。
このもつれた規制の網は、問題を提起する。誰が、またはそれ以上に重要なこととして、ミャンマーの規制サンドボックスを監督することができるのか?明らかなことは、何がミャンマーのサンドボックスは国家レベルで組み立てられる必要があるということである。
規制の課題
他の課題として、現在の規則及び規制と実験的な金融サービス技術の非互換性がある。
ミャンマーは決済方法として暗号通貨を非合法とはしていないが、CBMは声高に反対している。2019年に、CBMは商業決済方法として暗号通貨を認識していないと発表し、ミャンマー法の下これらをグレイエリアに取り残した。
サンドボックスは企業及びスタートアップに管理された環境で新しい決済方法を試験することを許可するため、フィンテック製品がどのように機能するのかについて規制当局を教育し、政府がそれらをより適切に規制できるようにする。
おそらく一番の課題は、サンドボックスで開発される可能性がある潜在的製品に対する規制の姿勢である。昨年のCBMの発表では、暗号通貨の使用による消費者の損失が規制上の懸念であった。規制サンドボックスは、設計上消費者に優しい決済プラットフォームに安全なスペースを提供することにより、これら懸念を緩和することができる可能性がある。
ミャンマーのサンドボックスは省庁間で同期する必要があり、知的財産及びデータの保護、明確なライセンス手続き、ステークホルダー及び規制者間の定期的な対話を含む、スタートアップ及び参会者のためのセーフガードを備えている必要がある。
(Myanmar Times 2020年8月18日付オンライン記事より)