汚職に蝕まれた政府、発展を阻害:調査

  • 2019年 7月 15日

調査が全てを明らかにした。政府との取引において、公務員に対して金品を送らねば困難だった経験があるかどうかという質問に90%以上が「はい」と回答した。
本調査は公務員の汚職に対する民間人の認識を調査するため、ミャンマー汚職防止委員会によってなされた。
ミャンマーは汚職指数において世界180ヶ国中132位であるが、本調査の結果はこのことを正確に反映している。
同委員会の委員長を務めるAung Kyi氏は、汚職は公務員全体に蔓延しており、国家の発展の大きな障害となっているので、その慣行を抑制するためには長期的で持続的な取り組みが必要であると認めた。

汚職の減少なし
同委員会は2018年に1万件を超える苦情を受け、4年前に受けた件数の2倍になった。
調査結果と苦情数の増加は、不正行為を根絶するため委員会によってなされている努力があまり功を奏していないことを示している。
同調査によると、贈収賄が最も頻繁に認められるとされる機関は、警察、裁判所、地方自治体、入国管理局、土地記録局、旅券局、総務局、道路交通局、内国歳入局、関税局、 教育省、健康スポーツ省、電力エネルギー省、森林局、畜産局、建設省、天然資源環境保全局であった。
マグウェ地区のサリン選挙区議員であるKan Oo氏は「これらの機関で職員の汚職を証明することが非常に困難であるため、問題は増大している」と述べた。
反贈収賄機関は、人々が日常的に直面する小さな汚職によって状況は悪化するという。
「ミャンマーで小規模汚職が続いているのは、明らかに政府機関の汚職が根強いことが理由である」と、Aung Kyi氏も同意見だ。
同調査によると、上級職員及び下級職員の間で相互援助もあるようだ。
そのことについてAnug Kyi氏は次のように述べている。
「彼らはあらゆる不正行為を軽視する傾向があるので、我々は上級職員に対して措置を講じねばならない」。
委員会が受け取った苦情はヤンゴン、マンダレー、エーヤワディー、バゴーの各地域からのものが大半を占める。
蔓延している汚職の背景には法律の遵守性の脆弱さ、利欲そして低賃金があると、同調査は結論付けている。

ウサギはニンジン畑を守っている?
汚職を抑制するための委員会のひとつの取り組みとして挙げられるのは、各省庁における汚職防止部署の立ち上げである。
同部署は汚職を根絶するため軽微な事件にも対処し、また汚職防止に有効な規則や規制を変更する役割を担う。
しかし国会は同部署に対して懸念を表明しており、「彼らはニンジン畑を守っているウサギのようなものではないか」と警告した。
同部署が独立した民間組織の代表者や専門家で構成されていれば有効性が保証されるとの見方もあった。しかし、委員会はこれに基づく取り組みを未だにしていない。
Aung Kyi氏は汚職行為を根絶するためには約200人の部門長の協力が必要だと述べた。
現在の行政メカニズムはいくつかの現代的なアイディアで体裁を整えてはいるが、20世紀半ば以降強いられてきた官僚主義の影響は未だ色濃く残っていると彼は言う。

違法行為を見つけること自体は難しくないが、現代では送金方法を追跡することがほぼ不可能だ:汚職防止委員会Aung Kyi会長

委員会の負担
2013年に汚職防止法が制定されたが、多くの制限がありあまり効果的ではなかった。同法は5年間で4度改正された。
最新の改正により、当局は正式に提出される前の苦情や汚職の噂についても調査できる権利を得た。
本改正により、ソーシャルメディア上の有名人Aung Ye Htweの殺害で起訴された容疑者から賄賂を受け取ったとして、全ヤンゴン法務官のHan Htoo氏及び上級警察官を含む5人の司法官が起訴された。
2017年11月に前大統領のAung Kyi氏が委員長に任命されたことで、同委員会に対する国民の信頼は高まった。
それ以来、前ヤンゴン法務官のHan Htoo氏、元タニンダリー首長のLae Lae Maw氏及び全FDA局長のThan Htut氏が汚職の罪に問われた。
しかし、昨年1万件を超える苦情が寄せられたにもかかわらず46件の訴訟しか行われなかったため、委員会の業績に満足していない者もいる。
カヤー州ロイコーのKhin Sithu議員もそのような批判をする者のひとりである。
「委員会はいくつかの事件について認識しているが、それはまだ証明されるに至っていない」と彼女は述べた。
Amyotha Hluttaw(国会)議員のMyo Win氏は、1万件の苦情のうち5268件は実際には苦情ではなく、単に汚職を根絶する方法に関する提案であり、2824件は実用的ではなかったと述べた。
「50%の申請には対応できなかったと考えられる」と彼は言った。
Aung Kyi氏は、全ての苦情を処理するための人員、スキル、技術、及び経験が不足していることに注目し、同委員会の欠点を認めた。
「1年間46件に対処するのが現在の我々の最大限だった」と彼は言った。
同委員会は、その性質と深刻さに応じて、各事件を処理するために10から15の人員を必要とする。
調査には数ヶ月かかることがあり、調査を実施するために派遣できるチームは5つだけだと述べ、随分以前に報告されたり起こったりした事件の証拠を見つけることは難しいと付け加えた。
法律によれば、汚職と見なされるためには地位の濫用と贈収賄の明確な証拠がなければならない。法律に違反し、国家の収入が失われたという明確な証拠も必要だ。
「違法行為を見つけること自体は難しくないが、現代では送金方法を追跡することがほぼ不可能だ」とAung Kyi氏は言う。

委員会はまだ600以上の苦情書簡を精査している。

悪弊を断ち切る
委員会は、効率を改善するための内部ガイドラインを策定し、汚職告発者を保護し報いるための内部告発者法案を準備している。
また、若い世代に幼い頃から良い公共サービス、正直さと誠実さの価値を教えることで官僚政治の現状を乗り越えることを同委員会はミッションとしている。
「我々の汚職防止活動は違反の疑いのある者に対して行動を起こすことによってのみ成功するものではない」とAung Kyi氏は述べている。
(Myanmar Times 2019年5月23日版 第2面より)