ミャンマーは企業内における取締役の責任を強化する

ミャンマーにおける企業内取締役が職務を怠った場合、法的責任を負うものと、昨年8月に施行された新ミャンマー会社法の下で定められている。
同法165条から172条には、株主の利益のため会社の適切な運営及び管理の保障を目的とした取締役の義務が含まれている。
Audier and Partnersの常駐取締役であるEddy Jabnoune氏は、取締役が職務の1つに違反したことに影響を受ける利害関係者がそれを証明できた場合、取締役は新会社法の下で個人的に責任を問われる可能性があると述べた。
「権力を行使し職務を遂行するにあたり、取締役は注意深さと勤勉さを持って行動しなければならない」と弁護士は言った。 取締役は「全ての専門家である」ことを期待されているわけではないが、「常に誠実に行動する」必要があり、会社の運営について充分な情報を得て、個人的利益のみを図ることを避け、それが不可能な場合は重要な事実を報告する義務がある。
会社法165条から172条までの義務を理解し慎重に検討するため、投資企業管理局(DICA)によって作成された文書「会社取締役ガイド」を読むようにと彼は取締役に促した。
取締役の職務を新たに規定することは、コーポレートガバナンス強化のための法的枠組みの提供を目的としている。
Myanmar Corporate Governance Scorecard 2018によると、調査対象の企業は取締役会の責任に関して充分には機能していないとのことである。よって同調査では企業の決定に対する取締役会の説明責任と共に取締役会の構成の改善に焦点を当てることが推奨されている。
取締役は頻繁に選任と再選が行われるが、独立した取締役及び彼らを評価する基準が不足していると、同調査では結論付けられた。
効果的な取締役の職務遂行は事業運営を成功させるための基本であり、市場における企業の競争力を確保するものであると、Jabnoune氏は付け加えた。
取締役のより明確な義務と責任を提示することで、ある者を会社の取締役に任命することに対して同意する前によく考えなければならなくなったと、Myanmar Centre for Responsible Businessの取締役であるVicky Bowman氏は言う。「この種の責任ある行動がとられず、有益な所有権に関する透明性が低下することに、うまくすれば気づき始めるだろう」とのことだ。
ミャンマー企業の間では、株式保有者及び取締役の混同が一般的である。たとえば、事業の運営に関与していなくても、その事業の株式を保有する家族が取締役として指名されている場合がある。
政府や軍の関係者又は近親者といった形式上の所有者が会社の取締役になることを望まない場合、彼らの投資のため表に立つよう他人に強いることもある。
「そのようにして指名された取締役は指示に従っているだけであるにもかかわらず、署名した決定に対して責任を負うことになる。したがって、取締役会の議事録を適切に記録し、決定に対する取締役の潜在的な異議を書き留め、利益相反の可能性を開示することが重要である」とJabnoune氏は述べている。
しかしながら、取締役の情報の提供を含む企業の透明性はDICAの下でのMyCoオンライン企業登録システムの導入により大幅に改善された。この新しいデジタルデータベースにより、社名、業種、登記番号、取締役名、住所などの情報を誰でも自由に利用できる機会が提供されている。登録官に提出されたその他の情報は、10,000チャットの支払いで一般に公開される。
情報の不足は政府や企業活動に対する世間の不信の一因となるため、公開された企業情報、特に株式を一般に購入できる公開企業については、透明性を更に高める必要がある。
2018年、ヤンゴン自治体所有企業であるヤンゴン都市開発公社が6万株以上を自治体計画及び財務大臣の名前で保有していたと報道された。
その後、自治体政府は大臣が政府の代理として株式を保有していると説明したが、ヤンゴン政府が保有する株式を含む同社の株式保有の詳細はまだ完全に公開されていない。同社はまた、オンライン上にウェブサイトを公開しておらず、株主に関する情報は政府のウェブサイトにも存在しない。
政府が株式の51%以上を保有しているという、YMDを批判する記事を報道したとして、2018年10月、イレブン紙は505条(b)に基づき自治体政府から訴えられた。
(Myanmar Times 2019年9月3日版 第5面より)