ミャンマー中央銀行(CBM)による、現地通貨におけるプリペイドカードの使用を認めないとの告知はキャッシュレス取引の後退であると業界評論家は述べている。
CBMによる2019年7月25日付の告知によると、海外の金融サービス会社と提携して国内銀行が発行した限度額5,000米ドルのプリペイドカードは、ミャンマー国内旅行者及び外国人旅行者の支払いの選択肢としてのみ使用可能であるとのことである。ミャンマー国民がこれらのカードを使用し、同等のチャットで取引を行うことはできない。
現地通貨での取引にプリペイドカードの使用を許可しないという指示はキャッシュレス及び電子商取引の後退であると、国内民間銀行の責任者はミャンマータイムズに対して語った。
CBMのカード及び商業サービス課の責任者であるZeya Aung氏は、消費者は利便性のためにキャッシュレス取引を利用していると述べた。「この告知は、キャッシュレス化を促進する別の方法を見つけなければならないことを意味する」という。
「特に食事や航空券の購入など、消費者が国内においてオンラインで買い物をする際、カードは決済に便利であるため使用されるが、最新の裁定は電子商取引の後退である」と、配車サービス及びデジタルストアを運営するデジタルプラットフォームであるGetの最高経営責任者Nyein Chan Soe氏はいう。
国内で発行されたカードは制限され、外国企業によって発行されたカードと比較するとそれほど便利ではないと述べ、CBMにはオンライン上での取引に対する明確な指示が必要であると付け加えた。
Zeya Aung氏は、ミャンマー以外の国では政府が消費者にキャッシュレス支払いの採用を奨励していると付け加えた。「プリペイドカードの使用は自身が所有している金銭を使用するが、クレジットカードを使用する者は月末に支払わなければならない。消費者がプリペイドカードを使用すると、割引を受けることもできる」と彼は述べた。
この裁定は一見、消費者がチャットでの取引を希望する場合、ミャンマー支払組合(MPU)で発行されたクレジットカード又はデビットカードの使用を選択するように促しているように見える。
ミャンマーにおいて、プリペイドカードはクレジットカードより以前から使用されており、2012年から米国のVisaがデビットカードを発行している。クレジットカードの使用が解禁されたのは2015年5月である。ただし、クレジットカード取引はMPUに参加する企業に対してのみ許可されている。MPUはミャンマーの全てのクレジットカード及びデビットカード(一部は外国の金融サービス会社との共同ブランド)を発行する。
Visaの他、ミャンマーに進出している外資系金融会社には、米国に拠点を置くMastercard、中国のUnionPay International及び日本のJCBが含まれる。4社はCBMの7月25日の告知で挙げられている。
一方、MPUの最高経営責任者Zaw Lin Htut氏は、外国企業と提携しているクレジットカードやデビットカードでも現地通貨で使用及び取引できるため、電子商取引及びキャッシュレス取引の状況は変わらないと考えている。「外国企業が発行したプリペイドカードはチャットで取引できず、国外でしか使用できないというだけのことだ」と彼は付け加えた。
MPUのオンラインショッピングカード、電子商取引カード、デビットカードの今年上半期における使用が前年同時期に比べ指数関数的に増加したことにZaw Lin Htut氏は注目している。
ミャンマータイムズはこのレポートに関するコメントを求めてCBMに連絡したが、回答はなかった。
(Myanmar Times 2019年8月1日版 第5面より)