ミャンマー中央銀行が仮想通貨取引に対する警告を発表

  • 2019年 7月 11日

金融業界の専門家によると、仮想通貨へのミャンマー国内投資が増加している。しかし、取引所や仮想通貨情報サイトが日々取引データを公開している海外とは異なり、ミャンマーでは価格の変動等を追跡することがより困難である。
ミャンマー中央銀行(CBM)はリスクを抑えるため、仮想通貨を公定通貨として認めておらず、ミャンマーの金融機関によるデジタル通貨を含む取引の受け入れ又は円滑化を禁止していると5月初旬に発表した。
近年取引が始まって以来、仮想通貨の相場は変動し続けている。4月1日にはわずか24時間で、1ビットコインの価格が18%上昇し4,900米ドルとなり、月末には5,200米ドルとなった。5,000米ドルを超えることは非常に高水準であり、次の強気市場の支持線を形成するために重要であると多くの解説者が主張した。
ミャンマーの買い手は増加傾向にあるオンライン決済を利用して買い込み、取引を扱う国内広告はソーシャルメディア上でより頻繁に見られるようになり、CBMがそれを懸念した。
これは、仮想通貨が政府発行のチャット、バーツ、円、ドルのように実態のあるものではないためである。伝統的にインフレ防衛策として使われてきた金属は金や銀とは異なり、物理的性質をもたないものである。
ビットコインは、仮想通貨ブームに火をつけた最初の仮想通貨の1つである。その発明から数年後となる2011年に投資家が熱狂する大きな第1波を引き起こした。
2017年後半、仮想通貨市場は大幅な価格上昇を経験し、2017年12月にはビットコインが過去最高の19,500米ドルにまで急上昇した。多くの投資詐欺スキームや疑わしい初期コインの提供などと並んでアルトコイン市場が十分成長したことが明白になると、投資が市場に殺到した。
ヤンゴンの国際企業のIT管理者であるAung Aung氏は、外国人の同僚との会話の後、2017年に仮想通貨の購入を一度検討した。彼は、現在ミャンマー国内で唯一の「ブロックチェーンサービスプラットフォーム」であるSkybitにアカウントを持っている。
「職場での会話の後、20ドル相当のビットコインを購入した」とAung Aung氏は述べた。特に国内の銀行取引に対する制限を考えると、Aung Aung氏のようにミャンマーの技術に精通した早期購入者は、国際的なな接続性と即時性に魅力を感じている。
Aung Aung氏は経験豊富なITプロフェッショナルではあるが、ビットコインに関して信頼できる情報をミャンマー語で見つけることは難しいと認めた。「いくつかFacebookグループとSkybitはあるが、それくらいだ」と彼は述べた。
Skybitは、「ミャンマーで世界規模の電子商取引を促進する唯一のプラットフォームであると自らを宣伝している。ミャンマーにサービスを提供する他の電子商取引Webサイトは、ミャンマー国内での取引又は企業間取引の開始のみを目的としている」
CBMは最近の発表で、仮想通貨と投資の観点からミャンマーに将来何が起こるか分からないと述べた。
現在、米国、シンガポール、日本、ウクライナ、イギリス、ドイツ、スイス、香港など、わずか17ヶ国がデジタル通貨での取引を正式に許可している。これらの国では、詐欺やマネーロンダリングから利用者を保護するための法律が既に制定されている。
ミャンマーは未だそのレベルに達していない。それまでは、仮想通貨による賭けが続くだろうと一部の業界ウォッチャーは推測する。「CBMは法律の下で仮想通貨の使用を禁止していない。ただ禁止を発表しただけだ。
正式な法律がないため、デジタル通貨での取引は違法とは言えない」とGet Myanmarのフィンテック専門家兼CEOであるNyein Chan Soe Win氏は述べた。
彼の見解では、「仮想通貨を違法とする前に、仮想通貨が現地通貨に与える影響及び既存の政策との互換性が第一に分析され議論されるべきだ」と述べた。
その一方で、暗号技術、そのセキュリティ、利便性、及び機能性に関する教育がこの分野の成長の一助となるだろう。例えば、最近マンチェスターメトロポリタン大学が受賞歴のあるフィンテックコースをヤンゴンで開催するとミャンマータイムズで発表した。そしてこれは、金融及び技術分野に明るい人々の興味を引くものだ。
世界中の中央銀行や規制当局が新しい暗号パラダイムに真剣に取り組むようになるにつれて、ミャンマーが中国のようにより限定的な規制制度を取るのか、シンガポールや日本のようにより開放的な規制制度化を進めるか、どの道を選ぶかを知ることは難しい。
(Myanmar Times 2019年5月20日 第4面より)