アジア財団はイギリスの国際開発省の支援を受けて、ミャンマー初のミャンマー事業環境指数(MBEI)を発行した。
この指数は、中小企業を多く含む全国のサービス業及び製造業4,874社への調査に基づいており、全国の民間企業の声を代弁している。
MBEIは、経済ガバナンスの洞察を行い、改革努力の指導を支援するアジア財団によって10年以上前にベトナムで初めて開始した。現在のミャンマーの状況に適応したその指数は、政策立案者、投資家及び国民がミャンマーの経済ガバナンスの長所と短所を理解するための手段である。その報告書は、地方自治体が広範な経済ガバナンス改革を遂行するために必要なデータを提供する第一歩としての役割も果たしている。
透明性から不公正まで知っておくべき事業環境指数における重要なポイント6点を挙げる。
1.政府は透明性を大幅に改善する必要がある
重要な情報に利用できる企業の割合は非常に低く、政府の透明性のためには大きな改善が必要だ。一般的に、企業は政府から提供された重要な計画及び法的文書の利用が非常に制限されている。
州又は地域の予算を利用できると報告しているのは3.6%の企業のみで、新しい投資計画に利用できると報告しているのは4.3%の企業のみである。
審査された利用申請書類のうち、最も利用しやすいのは規制プロセスを果たすための標準利用申請書であるが、これらの申請書を利用できるのは26.9%の企業のみであることがこの指数で分かった。
この政府の透明性の欠如は投資を減らす可能性があり、企業は公的規制への遵守方法及び政府の投資及び予算計画に沿って潜在的収益力を最大化する方法を理解する必要がある。透明性は企業に効果的な運営と将来の計画の立案に重要な、確実性と安定性をもたらす。
2.縁故企業に対して存在する強い贔屓
ミャンマーの事業環境は、エリートの意思決定者と繋がりのある企業に有利に偏っており、これは投資パターンをゆがめ、事業の生産性を低下させる。
回答者の64%は、政府は強い結びつきを持つ企業の土地利用を贔屓していると主張し、44.6%の企業がローン利用も同様だと思っている。
対照的に、情報へのアクセスに贔屓があると主張しているのはわずか19.8%で、行政手続で贔屓があると主張しているのは25.2%の企業のみであった。
3.正式な登録証明書を取得したのは10%未満である
大多数の企業は営業許可を取得したと述べ、調査した企業のうち65%は地区レベルの営業許可のみを取得している。加えて、17%はネピドー、ヤンゴン、マンダレーの都市開発協議会から営業許可を取得している。
わずか6%の企業が投資企業管理局(DICA)から登録証明書を取得している。
しかし、60%の企業が、申請プロセスの開始後3ヶ月以内に十分に合法であるために必要な全ての必要書類が揃っていると思うと報告した。わずか9.3%の企業がこのような文書を入手する困難に直面している。
さらにミャンマーの企業は、ベトナムの平均的な企業と比べて事務処理に費やす時間が少なく、役人がより効率的に働いていることが確認できる。しかし、ミャンマーの企業は規制当局の審査を受ける可能性が2倍高く、手数料が明確に地方自治体に掲示されていないことを訴える可能性がベトナム企業よりもはるかに高い。
4.資格のある労働者を見つけるのは困難である
資格のある労働者、特に熟練した技術者や管理職の採用は、同国の企業にとって大きな問題だ。
回答者の半数以上が、手作業の一般労働者、技術者、会計士、監督者及び管理者を採用するのは困難であると回答した。さらに、優秀な労働者を見つけるには費用がかかる。中規模の企業は、その営業予算の5.4%を労働者採用に費やしている。まとめると、これらの結果は、資格のある応募者を見つけるのは困難で費用がかかることを意味する。
調査された全ての場所の中では、モン州が監督者に関して50%以上採用が容易であるとして先導した。採用のしやすさに関して最善を尽くした場所は、それぞれエーヤワディ地域が技術者に関して33.0%、モン州が管理者に関して46.2%であった。技術者と管理者の採用が最も困難なのはカヤー州とバゴー地域で、それぞれ10%を下回る7.7%と8.9%であった。
5.非公式支払いは一般的ではない
MBEIの調査結果は、一般的に多くの企業にとって非公式支払いは稀で少額であるという世界銀行の評価と一致している。
74%の企業が非公式支払いはそのような企業には一般的ではないと報告しており、79%が年間売上高の2%未満を非公式の支払いに費やしている。
比較して近隣国のベトナムでは、60%の企業が非公式支払いが一般的で、50%の企業のみが非公式支払いで収入の2%未満を支払っている。
獲得のための非公式支払いについて、公開入札に参加した68%の企業が政府の契約を獲得するために手数料は必要ないと主張している。
6.不十分な輸送及び電力インフラは依然として重要なビジネスの懸案事項である
インフラの質は、ミャンマーの企業にとって深刻な懸念を引き起こしている。特に、51%の企業が、道路の品質及び電力に不満を抱いていると明らかにした。電話に関して、66%の企業が接続性が良い又は非常に良いと報告しており、インターネット接続も54%の企業が同意見だった。しかし、これらのインフラ機能でさえも問題が発生する。
報告書によると、中小企業では、過去1ヶ月間に20時間の電気通信とインターネット通信の切断及び20時間の電力損失が発生している。さらに、中小企業は道路の冠水で7日間輸送作業ができなかったと主張した。このような種類の不十分なインフラ工事は、損失した製品において企業に多大な費用をかける可能性がある。
この違いは、他の重要なポイントが示すものよりさらに顕著である。例えば、首都ネピドーは、調査の前月にわずか16時間の停電を記録し、過去1年間で洪水による道路閉鎖はわずか10日間であった。これと比較して、エーヤワディ地域の企業では、67時間の停電と67日間の通行不能な道路が発生した。
(Myanmar Times 2019年6月17日 第4面より)